No.37 エコロジストの挑戦(14) 「クリスマスホーリーとヒイラギ」
冬の晴れた日曜日の午後、散歩に出る。冬枯れのコモン(野原)を横切って森に向かう。ところどころにあるブッシュにはノバラの赤い実がたわわに実り、枯れた野原に橙色の丸いつぶつぶがひときわ鮮やかです。森の入り口には朽ちた木が横たわり、オイスターホワイト色のヒラタケがたくさん生えている。森は昨日の雪が裸の枝に残り、お日様がキラキラ反射してまぶしいくらい。
しばらく雪を踏んで森の中の小道をだどる。何もかも茶色一色のイギリスの冬、緑を求める気持ちがエバーグリーンを探す。道脇の大きな大きな木の下にこんもりとした緑のかたまりが目に入る。つやつやした葉と見え隠れする赤い実。真っ白な雪の中に緑と赤。これがヨーロッパではクリスマスホーリーと呼ばれているイングリッシュホーリーなのです。
赤い実のついた枝を少しいただいて、拾った松ぼっくりやローズヒップを飾りに付けてリースをつくり、入り口の木の扉にかけましょう。ついでにミスルトウ(透き通った実を付けたヤドリギの枝)も居間の入り口につけましょう。 そうしてドライフルーツのたくさん入ったクリスマスプディングにもホーリーの葉と実を飾りましょう。冬至も過ぎて、だんだん日が長くなり、春を待つという気持ちがこのとげとげの緑にこめられているのだと思えます。
日本の福島県以南に分布する「柊」と書くヒイラギは学名 Osmanthus heterophyllus で、前記の二つのホーリーと違ってモクセイ科です。寒冷地は苦手で、日本の暖かい地方にたくさんあります。真夏に花芽をつくり、晩秋に真っ白な花を咲かせ、次の年の夏に黒紫色の実を付けます。日本の風習として、このヒイラギは節分に鰯の頭を挿して門口に挿し、悪魔除けとして使われていました。
また、ヒイラギの葉は50年から80年の歳を経るに従って鋭い鋸葉が丸くなってきます。
これは若木のうちは背が低いので、葉を動物に食べられないようにとげを持ち、生長して大きくなったらその必要がなくなるのでとげを落とすのだといわれています。
ヒイラギの若木
ヒイラギの古木
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