No.38 エコロジストの挑戦(15) 「庭の草々(1)」
ほんの少しの土と、ときどき降る雨と、暖かいお日様の日差しさえあれば、植物は種から芽を出し、やがて葉を出し、花を咲かせ、実をつけることができます。ある種の植物の種は何年の間でも土の中でじーっとそのときを待つことができます。庭に生える雑草と呼ばれる植物の種も、なかなかしぶとく土の中で生き続けます。この植物たちが厄介なのは、野原と違って栄養たっぷりの庭では、ほおっておくと大切な花の肥料を横取りし、1m以上も伸びてほかの植物に覆いかぶさり、日差しを奪い、死に至らしめることです。夏には、きれいな庭がジャングル状態にもなります。
さて、日頃、目の敵にしている雑草ですが、それぞれに名前があります。カタバミ、タンポポ、オヒシバ、メヒシバ、スズメノカタビラ、イノコズチ、ハコベ、ナズナ、ヨモギ、クローバー、チチコグサモドキ、アメリカセンダングサ、オニタビラコ、ヒメジョオン、ノゲシ、スベリヒユ、オオバコ、オオイヌノフグリ、タネツケバナ、カラスビシャク、ドクダミ、ユキノシタ、ジャノヒゲ、ゲンノショウコ。そうそうミントもほおっておくとはびこりますね。これらはよく観察すると、畑のふちや道端、野原にごく普通に生えているものばかりです。しかし、この「たかが雑草」の中には漢方薬として使える薬草(太字)があります。せっかく庭や畑に生えてきたのですから引き抜いて捨ててしまわずに、ぜひ使ってみましょう
用意するもの:耐熱性の土瓶またはガラス鍋、土鍋、水500cc(約3合)、薬草 (例:大人1日分10gとして)
1.容器に水500ccと薬草10gを入れ、強火で沸かし強火で煮立たせる。
2.弱火で20分ほど煎じ300ccになったら火を止める。 ※根は30分、種子は40分煎じる。(水は800cc)
3.300ccに煮詰めたものを1日3回、食前、食間(空腹時)に飲む。
カラスビシャク(サトイモ科)
畑によく生える。1cm弱の球状地下茎があり、この表皮を取り去って乾燥させたものが漢方薬の「半夏」。鎮吐薬。
保存法/日当たりの良いところで干して紙袋で保存。
効用/ ●つわりや強い吐き気に干した球根6g(1日量)300ccの水で煎じて約半量にし、ショウガのすりおろし汁を適量加えて、3回に分けて飲む。 ●不眠には、干した球根3g、シソの葉3g、ナツメの果実3g、刻んだショウガ少々(1日量)を煎じて服用する。
カラスビシャク
ユキノシタ(ユキノシタ科)
常緑の多年草で、湿ったところに生える。民間薬として広く使われる。
保存法/日当たりの良いところで乾燥。庭に植えておけばいつでも手に入る。
効用/ ●子供のひきつけに生の葉の絞り汁を口に入れると痙攣が止まる。 ●中耳炎など耳がはれて痛いときには生の葉の絞り汁を1~2滴たらし、脱脂綿で蓋をしておくと数日で軽快する。 ●風邪の初期の熱さましとして生の葉10g(1日量)を煎じて服用する。 ●漆かぶれや火傷に生の葉を搗き砕いて汁を出したものを塗る。
ゲンノショウコ(フウロソウ科)
各地の山野や道端に生える多年草で、日本薬局方にも載る急性下痢に効き目のある民間薬。西日本では赤い花、東日本では白い花が咲く。
保存法/日当たりの良いところで干す。
効用/ ●大腸炎(急性の下痢)に全草20g(1日量)を700ccの水で半量になるまで煎じて数回に分服、2~3日連用する。かなりひどい下痢でも止まる。 ●胃腸の弱い人は全草を煎じてお茶代わりに飲んでもよい。 ●便秘には20g(1日量)を700ccの水に加えて火にかけ、沸騰したら火を消して、冷やして4~5回に分服する。
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