No.39 エコロジストの挑戦(16) 「庭の草々(2)」
私たちの生活圏の中にある植物は、ほとんどが弥生、大和、奈良、平安時代に外国から渡米してきた植物です。例えば、ナズナ、オオバコなどはヨーロッパ→中国→朝鮮半島から、エノコログサ、ツユクサ等はインド→インドネシア→中国→朝鮮半島経由で入ってきたといわれています。
ブタクサ、ヒメジョオン、セイヨウタンポポ、アメリカセンダングサなどは江戸末期、明治、大正、昭和にかけて、いつの間にか侵入したもので自然帰化植物と呼ばれています。
さらに、人為的に移植された植物(例えば牧草はシロツメクサ、レンゲなど、薬用ではアメリカアリタソウ、オランダハッカ、食料ではクレソン、観賞用はコスモス、ヒマワリ、オオマツヨイグサなどなど)が、牧場や工場、畑、庭から逃げ出して繁殖してしまった逸出植物という人為的帰化植物もあります。
結局、植物のこういった長い遷移の歴史を見ると、自分の庭でよく育つ植物をじょうずにコントロールしながら育てるのが一番だということになります。そこで前号に引き続き、庭の草々を使った漢方薬づくりのテクニックと、さらにグランドカバーとしての使い方をもう少し追求してみましょう。
もうひとつ、私からのお願いです。絶滅危惧種の草をだいじに庭で育ててください。そして、その植物にとってふさわしい生育環境、つまり自然環境が整ったときに備えて増やしてください。例えば、絶滅危惧Ⅱ類のイヌノフグリ、ゴマノハグサ科です。ヨーロッパ原産のオオイヌノフグリに負けて見かけなくなりました。オオイヌノフグリの花はルリ色ですが、イヌノフグリは紅紫色の可憐な花です。どこかで運よく種を採取できたら(イヌノフグリは愛知県半田市瑞穂町付近にはたくさん生えているようです)、庭で増やし、その種を皆さんに分けてあげてください。
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