靜水舎 一級建築士事務所
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No.40 エコロジストの挑戦(17) 「身近な東南アジアの役に立つ植物

民間伝承の大切なレメディ

 

ゲッキツ

ポンペイの遺跡を訪ねたある夏の日、さんざん歩き回って疲れていました。行き当たった楕円形のコロセウムに日陰を求めて登ったところ、人影もなく、かつて観客で埋め尽くされたであろうスタンドだった斜面は一面の草でした。

フェンネルの黄色い花、ノコギリソウの白い花、カモミールの小さな花が草ぐさの中で優しく風にそよいでいました。あたりに香りが満ちて、旅の疲れが汗と一緒にすーっと引いていきました。

・ゲッキツ

日本の奄美大島以南から東南アジアそしてインドに生えています。群がって咲く白い小さな花は暖かければ1年中咲き、ネロリ系(オレンジの花の匂い)の香りが遠くまで広がります。中国ではそれゆえに十里香と呼ばれています。ミャンマーでは約1300年以上の昔から日焼け止めファンデーションとして女性に使われてきました。地元でタナカと呼ばれる樹の下生えを切り取り、10cmぐらいに切りそろえ、束にします。それを丸い大理石の砥石に水を少したらして、ゆっくりゆっくりすりおろします。できあがったどろっとした肌色の液を顔に塗るのです。紫外線防止効果があり、炎症を和らげる効果もあるナチュラルコスメティックです。また、赤く熟した実はジャムにして食べることもできるそうです。

 

古代ローマの人々も身近に生えている自然のハーブを日常的に使っていたのかと
数千年の昔に想いを馳せました。

帰国後、ハーブ、スパイス、薬草などについて調べてゆくと、日本を含む東南アジア
にもたくさんありました!インドのアーユルヴェーダや中国の官報のようにしっかりと
体系づけられたものから、インドネシアのジャムウ、日本の置き薬のような民間伝承
のレメディ(治療薬)がどっさりです。

そこで今回はそんな東南アジア圏に育ち、地元で大事にされている3つの有用植物を
ご紹介いたします。

 

ポリシャス       クロモジ
         ポリシャス                           クロモジ

・ポリシャス(ウコギ科)

ポリネシアに生えています。タイワンモミジとも呼ばれる。丸葉、班入り等、いろいろな種類がありますが、一般的なポリシャスは葉が不規則な2~3回羽状複葉で、細かい切り込みがあります。葉にはウコギ科特有の芳香があり、若葉はサラダや炒め物に使えます。また、切った枝を土に刺すとすぐに発根します。冬に暖かくさえしておけば育てやすい観葉植物です。

・クロモジ(クスノキ科)

和菓子に添えられる黒い皮のついた楊枝の原料です。葉も枝も香ばしい爽やかな香りがします。精油を抽出して香料として使います。枝や葉は下駄箱や引き出しに入れるとよい香りです。お風呂に入れると、保温性をもつ入浴剤として関節痛に効能があるそうです。アルコールにつけてローションをつくり脱毛部分に塗ると、養毛効果があるとされています。


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