靜水舎 一級建築士事務所
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NO.29 エコロジストの挑戦(6) 絶対育つ!インドアグリーン

ハウスプランツが与えてくれる素敵なプレゼント

冬、寒い寒い木枯らしの中で庭の落葉樹は葉を落とし、じっと花芽を抱えてたたずんでいます。春、夏、秋とあれほど咲き誇った宿根草も霜枯れて地上から姿を消し、わずかに残ったロゼット状の葉が必死に土に張りついています。
一転、わが家の室内に目を向けると生き生きと育った緑があふれ、思わずほっとします。室内に置かれたグリーンを私はハウスプランツと呼んでいますが、この「ほっとする感覚」はハウスプランツが人間にとても素敵なプレゼントを与えてくれているからだということをご存知でしょうか?

植物は私たちの心とからだの疲れを解消してくれます

シックハウス症候群と呼ばれる症状に悩む方が多くなってきています。内装材や家具から発散される化学物質が室内に充満して、室内の空気が屋外より10倍も汚れていることがあるそうです。これに対して、観葉植物と呼ばれるほとんどのハウスプランツは室内の汚れた空気をきれいにする能力をもっているのです。その能力は葉の裏にある気候から汚れた空気を取り入れ、有害物質の一部を吸収したり、根とそのまわりの微生物によって分解する、という仕組みによって成り立っています。ボストンタマシダはホルムアルデヒドを、アレカヤシは、キシレン、トルエンを、カンノウチクはアンモニアを、スパティフィラムはアセトンを除去してくれるといった具合です。
また、植物は、葉から水分を蒸発させて室内の湿度調節もしてくれます。テクノストレスによる人間の目の疲労が植物の緑を見ることによって回復することも実証されています。さらに植物だけでなく葉から揮発性物質を放出し、空気中の微生物やカビの胞子をコントロールしてくれます。これらの相乗効果によって、私たちの心とからだの疲れが解消されるわけです。

植物を育てる~なんとわくわくすることでしょう

植物を育てることは、ほかでは決して味わうことのできないすばらしい楽しみを私たちの暮らしにもたらしてくれます。たとえば、秋にチューリップの球根を鉢に植え、ベランダや窓辺に置いて水をやりながら春を待ちます。やがて、小さな芽が出て、つぼみが伸びてきてドンドンふくらみ、ぱっと花が開く!なんとわくわくすることでしょう!
このように、植物が人の心や身体を健やかに穏やかにすることから、高齢者、心身障害者などの施設では園芸療法として普及しています。

植物を枯らしてしまうと、うしろめたくて・・・

ところが、こんなにも私たちを元気づけてくれるハウスプランツがだんだん元気がなくなり、やがて冬でもないのに枯れ果ててしまったとしたらどうでしょう。「私はグリーンサム(緑の親指)を持ち合わせていないのだわ」とため息とともに植物を鉢ごとゴミ箱へ。「ペットロス(最愛の家族であるペットを失う痛み)」ならぬ「プランツロス」になってしまいます。そうしてなんとなくうしろめたい「罪悪感」みたいなものを感じてしまったのでは、せっかくのハウスプランツも枯れても枯れきれない思いがすることでしょう。そこで、今号では「ハウスプランツと上手につきあう方法」について考えてみることにしようと思います。

 
インドアグリーンを育てる4つの力

光・・・Light・・・

太陽の光は私たち生きものにとって大切です。植物も同じです。しかし、どの植物も同じ量の光を必要としているわけではありません。植物は自生地によって、日向、半日陰、日陰と住み分けています。あなたが選ぼうとするハウスプランツに必要な光の量をまず知って、置き場所を考えてみることが必要です。

ハウスプランツには、どちらかといえば、半日陰、日陰に強いものが適しています。

半日陰とは午前中3時間ほど日が当たるところです。または大きな木の下でちらちらと日差しの入るところです。

日陰とは明るさはあるが、直射日光が当たらないところです。または建物の陰だったり、北側だったり、常緑の木の下で薄暗いところなどです。

観葉植物のアオワーネッキーはオフィスの人工照明の下でも生きています。学名はドラカエナ・デレメンシスです。世界地図でもわかるとおり、アフリカの熱帯ジャングルの昼でも暗いところに育っています。ワーネッキー・コンパクタは成長も遅く、ドラセナの仲間では空気中の有毒物質除去能力がいちばんです。

水・・・Water・・・

私たちと同様に植物にとっても、水は必須です。底植えの植物には自然の雨と夜露があるますが、ハウスプランツにとっては、あなたの水やりや霧吹きが頼りです。水はやりすぎないように、表面が乾いてから2、3日待って水やりをするくらいでちょうどよいでしょう。葉水として霧吹きで水をやる場合は、とくに暖房のある部屋では頻繁におこなってもいいのです。
よく「水やり3年」といわれるように、水やりを極めるのはとても難しいものですが、気まぐれな人、忘れっぽい人と一緒に暮らすハウスプランツは短命な悲劇のヒロインみたいなものだということを忘れないでおきましょう。

水を多く欲する植物は自生地が湿地か川沿いです。

水をあまり欲しない植物は砂漠とか乾燥地帯が故郷なのです。

鉢に対していつも同じところから水をやっていると、たとえ鉢底から水が出るほどやっていても、鉢全体に水がじゅうぶんにまわっているとは限りません。鉢の中に「水みち」ができ、水の来ないところの根は干からびてしまうわけです。水は鉢全体にまんべんなくまわしかけましょう。

風・・・Wind・・・

暖かい部屋で水もきちんと忘れずに与えられているハウスプランツでも、閉め切った室内に一日中閉じ込められているとだんだん元気がなくない枯れてしまいます。室内に空気の揺らぎがないと窒息状態になるのです。「ランは風で育てろ」といわれますが、植物も人間と同じで身体のまわりに空気の流れを必要としています。つまり、人間も植物も身体から水分や揮発成分を発散し、それによって身体の熱や呼吸機能のバランスをはかっているわけです。まったく空気の流れがなくなると蒸れて、ハウスプランツにハダニが発生しやすくなります。

季節によっては、週に1度くらいは外に出して自然の日差しや風に当ててあげてください。なんといったってハウスプランツは植物、もともと自然の中で育っている生き物なんですから。

ハウスプランツの場所を移動するときは、まったく環境の違う場所に出すのは危険です。温度、湿度、風、日光など、加減しながらじょじょに慣らしていきましょう。さもないと、葉焼け(ハウスプランツのやけどです)を起こしたり、風邪(寒さで弱ってしまうことです)をひかせたりしてしまいます。

土・・・Soil・・・

土のかわりに高温焼成された土(ハイドロボール、レカトン、ネオコールといった商品名のついた植え込み資材を使う礫耕栽培)と、植物を攻撃する土中の病原菌を防ぎます。また人にとっても清潔で安全ですから、室内で使うのに向いています。保水性、通気性共に優れているのでハウスプランツも長生きできます。

土に比べると礫耕栽培用の植え込み資材はとても高価ですが、繰り返し何度も使えます。白い汚れ(水道水のカルキ、肥料等)が表面に付着したら水で、落ちにくいときはお湯を使って表面をごしごし洗うときれいになります。

水位計を使えば水やりの目安が簡単にわかるので、水枯れが防げます。


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