～地球規模の自然のサイクルに貢献するビオトープづくりを、
まずは自分の小さな庭から初めてみませんか？～

人間がそうであるように、庭も自然のサイクルの一部です。庭には人間も含めて、たくさんの生物が生きています。土の中にいる兆という単位の微生物、それを食べる虫、もっと大きな虫やクモ、それを食べるカエルやトカゲや鳥、そして草、木などの植物です。食べたり食べられたりしながら太陽と雨と風の恩恵を受けてみんな生きています。このような生態系の環境をビオトープといいます。
有害な化学農薬、殺虫・殺菌剤、除草剤などをふりまくことによって害虫を殺し、植物の病気を治し、いまいましい雑草は枯らすことができるかもしれません。でも、自分の庭の土、水、そして空気までも汚染し、フカフカの土をつくる微生物、ミミズ、益虫までも殺してしまっていることをよーく考えてみましょう。

さて、庭をつくるときや植物を植えるときなど、庭に関わるときには「多様性」という言葉がキーワードになります。庭の「多様性」というのはたくさんの種類の植物、動物がいっしょに住むことができるという意味です。植物と動物の生と死による複雑な絡み合いのサイクルがビオトープをつくりだすのです。あなたの住んでいる地域の生態系を大切に考えて、庭の「多様性」を進めていくと、結果として、あなたの庭がビオトープになるわけです。
自分の庭が地域の生態系の一部となるようにしましょう。まず、あなたの庭に合ったいろいろな在来種の植物を植えてください。あなたの庭の「多様性」に対するほんのちょっとのこだわりで、あなたの庭はあなたの庭だけではなく、あなたの住んでいる町の、地域の、いやいや、地球規模の自然のサイクルに貢献する庭になるのです。

在来種の植物を自分の庭に植えましょう。近くの山や神社の杜や公園から鳥や羽のある虫がたくさん来てくれます。そして、なるべく実のなる中低木や灌木を植えましょう。また、水は人の心を落ち着かせて静かに物を考える力を与えてくれます。たとえ小さな庭でも小さな水溜り、池をつくりましょう。池をつくれるようでしたら、浅いところと深いところをつくって、その水深にあった水生植物を植えると池の水が浄化されて、豊かな水棲動物が現れます。池にカエルが住みつくとナメクジを捕食してくれます。切り倒した木をそのままにしたり、使わなくなった庭石を積み上げておくといろいろな生物の隠れ場所になります。

小っちゃくても庭があればゴミが出ます.枯葉、雑草、剪定枝などです。じつはその「ゴミの山」は「宝の山」なのです。さあ、簡単に堆肥をつくっちゃいましょう！どーせ、ほうっておいてもゴミは土に戻るのですから、ちょっとだけ手間をかけてやれば早くできるわけです。キッチンの野菜クズも入れちゃいましょう。虫が湧いたり猫にひっくり返されないために魚や肉は入れません。

春には木漏れ日がチラチラ、夏には緑陰、秋にはブドウの収穫、冬には暖かい日差しを届けてくれるパーゴラのブドウです。ほかにも、アケビは新緑とムラサキの実がきれいです。トケイソウは、暖かい地域ではパッションフルーツがなります。これらは、四季を通じて楽しめるツル植物です。自然の冷暖房効果をつくりだす生きているパーゴラ屋根です。

小さくてもちゃんとした温室があると、暖かい国生まれの植物に寒い思いをさせなくてすみます。できれば、居間続きの温室にすると、空気をきれいにしてくれる観葉植物などと共生できて、快適な冬を送ることができます。

野菜を植える場所には、いくつもの区画をつくりましょう。たとえば、４つの区画なら、４年で一周するように野菜を植えます。これを輪作といいます。野菜は土の中から自分に必要な栄養成分を吸収して育ち、それを人間が収穫してしまうので、土の中の栄養のバランスが悪くなってくるのです。それで、同じ場所に同じ種類の野菜を植えると必要な栄養素がとれなくなり、病害虫の攻撃にやられやすくなります。ですから、毎年違う野菜を植えることがよいのです。また、マメ科の植物、インゲン、ソラマメ、サヤエンドウなどを植えた土には窒素が増えていて、あとから植えた葉物野菜の生長がよくなります。
野菜は土中の栄養をとって生長し、それを人間に食べられてしまうので、だんだん土中の栄養が足りなくなってきます。そこで、前述の堆肥です。堆肥の力はすばらしく知力をアップして、健康な野菜を育ててくれます。

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