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北軽井沢 オルガネラコテジーズ

エコロジカルな視点

イメージ写真

今、日本人の暮らしは地球3個分で支えられています。果たして、我々は生活レベルの全てを三分の一にできるでしょうか?建物について考えてみましょう。原材料、製造、運送、加工、建物使用時、メンテナンス、廃棄まで考えると、できるだけ近くで産出する材料で、なるべくそのまま使い、ランニングコストを抑え、こまめに使用者が自身で手入れし、材料はとことん再利用し、ゴミは燃やさずに土に戻すということになります。

そう、現在求められているのはエコロジカルな視点です。ここでは、私がこれまで取り組んできたエコロジカルな家づくりについてのフットプリント(足跡)の一端を記してみたいと思います。

山の木を使う

木造イメージ

私は日本の山の木、なるべく現場から100キロ圏内の山の木を使っています。山から木材を下ろして、山のそばで製材し乾燥するシステムによってコストダウンができるようになりました。山からクライアントに産直できるのです。次にたくさんのエネルギーや水を使い、たくさんのCO2を出す工場生産品、特に石油由来製品を極力使わないようにしています。100キロ圏内に材料の供給場所を限定することによって運送費そしてCO2も抑えています。優れた人の手業による現場加工技術のコストダウンが今一番の課題ですが・・・。しかし経験的に、良い仕事をする人は費用も決して高くないということです。

自然素材を使う

内装イメージ

住宅の生活に使われるエネルギー消費は、CO2換算で全エネルギー消費の30%弱ですが、エネルギー削減の方法は全方位長スパンで考えないと片手落ちになります。工業製品の発泡断熱材をたくさん使って換気扇をいっぱいつけて高気密高断熱にすることや、つくるのにエネルギーを沢山使い、廃棄処分に困る太陽光発電パネルをいっぱいつけて電気を使いたい放題でも、省エネルギー住宅なのでしょうか? 建材についても、汚れにくい外壁、掃除が楽な床材など、年を経るにしたがって、すごく汚くなるのはどうしてでしょうか? 住宅など自分で簡単に塗装したり、障子の張替えのようにチョコチョコッと切ったり張ったりできる自然な素材だと、いつもキレイに保てます。使わなくなっても、石、土、木は再利用ができ、捨てても環境を汚しません。

新伝統木構法を用いる

木構法イメージ

家づくりで私が取り組んでいるのは、伝統的な軸組構法(継手、仕口、板倉、貫、足固め,頭繋ぎ)に立脚したアーチ、トラス、合成梁や合成柱(集成材は使わず、小径木、間伐材をダホなどで組む)で構成する「新伝統木構法」です。台風や地震に強いことは勿論ですが、金物、集成材、合板は一切使いませんから100年以上もつ建物になります。家の手入れをきちんと10年、20年ごとにすれば、もっと建物の寿命は延びます。

緑化への試み

屋根緑化イメージ

群馬県の安中市で大きな武家長屋の芝棟を見ました。茅葺き屋根の棟にオレンジ色のヤブカンゾウが風にゆれていました。200年近く経ているのに・・・。雨の多い日本では木造勾配屋根の緑化はかなり難しいです。私もいくつか実験的にやってきましたが、原則として砂利も土も敷地のものを使い、地元の野芝を植えました。身近なその辺にある草を移植するのが一番のようです。10年後にどうなっているのでしょうか? 楽しみでもあり、不安でもあります。

木霊を敬う

木霊イメージ

植物の力を侮るなかれです。材木も勿論植物ですが、緑の葉を持つ植物は炭酸同化作用、汚染物質の吸着、湿度調整、日射、風、音のコントロールができます。食物として穀類、野菜、果物を生産するし、人間のテクノストレスも緩和します。人も地球上の自然循環の輪に入っているので、植物の力なしに生存できません。古い大きな木を切り倒し、苗木を植える愚行だけはしたくありませんね。今後は地球一個分を目指して植物の力をお借りする「家と庭」つくりをしたいと思っています。


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